無責任の構造―モラル・ハザードへの知的戦略



無責任の構造―モラル・ハザードへの知的戦略 (PHP新書 (141))

無責任の構造―モラル・ハザードへの知的戦略 (PHP新書 (141))

1999年9月30日に発生した、茨城県東海村でのJCO核燃料臨界事故。
この本の筆者は、2人の犠牲者を出したこの事故の原因を究明すべく
科学技術庁(当時)が発足させた事故調査委員会のメンバーとして活動されました。
そのときの経験を元に、ごく普通の人々によって構成された組織というものが、
徐々に倫理意識を失い、原子炉等規正法違反などの犯罪行為に手を染め、
遂には事故発生にまで至ってしまう過程を、
組織というものが持つ「無責任の構造」に焦点を当てて解説されています。


「無責任の構造」に関する具体的な描写の数々が、
自分の勤めている職場を見ても、「あー、あるある」と思えてしまうところが
かなり焦燥感を煽ります。
「無責任の構造」の発生原因が心理学的手法から解析されているため、
何となく救いようがない印象を持ちます。
解決策として個人レベルでの気構えと、組織としての監査システムの構築が
説かれています。
が、個人レベルの気構えについては、相当難しいことが書かれています。
「孤高に耐える」なんていう章もあったりしますので。


また組織としての対策も、最近の事件を見るにあたって


「監査システム」って有効ですか


って、思ってしまいますよね。