日経ビズテック006~MOTを極める技術経営戦略誌 日経BPムック-日経bizTech (日経BPムック―日経ビズテック)


数日前に読み終えていました。
この中に、Biz-FA(ビジネス・フリーエージェント)という働き方について
解説されている記事がありました。
これは、個人が自分の能力を提供して企業と対等に契約する、
という形式です。
この記事の中ではBiz-FAシステムに加えてBiz-FAのコミュニティを立ち上げて、
このコミュニティにより企業への法的担保、あるいはBiz-FA個々人への
社会保証の提供を実施してはどうか、との提案がなされていました。


一読した範囲では、現在のIT業界に照らし合わせて、この業界は
まだまだ技術者個人の経験や勘が重要な価値を持つ職人の世界なので、
この記事のようなある種の中世的職人ギルドのようなシステムも
有効かな、と感心していました。


しかし少し考えてみると、こういう能力のある優秀な人が報われるシステムの
提案には、もう一つ考えるべきことがあるのではないかと思い始めました。
というのも、「優秀」という概念は相対的な価値観なので、
元来希少性をその概念に包含しています。
つまり、「優秀な人」の労働市場での本質的な価値は希少性であって、
優秀な人の労働市場はそもそも売り手市場なのです。
そうであれば、「優秀な人」は市場原理に任せれば自然と報われることに
なります。
このようなシステムが世に受け入れられるために問題となるのは、
自然と報われるはずのごく少数の「優秀な人」ではなく、
大多数の普通の人の生活がどう変わるのか、ということです。
これまでにも、このBiz-FAのような成果主義的なシステムが
いくつか提案されてきましたが、それらは要約すれば
「大多数の人の生活水準を削ぎ落とし、ごく一部の人に
再配分する」というものです。
これでは社会システムとして受け入れられることはないだろうと
思います。
「優秀な人が報われるシステム」の方向性には賛成ですが、
それだけではなく、より多くの人が恩恵を享受できるシステムを
検討していかなければならないでしょう。


というところまで思ってみただけで、結論があるわけではないのですが。