古事記と日本書紀―「天皇神話」の歴史
- 作者: 神野志隆光
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1999/01/20
- メディア: 新書
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神話というモチーフは決して人気の低いものではありませんが、
私達は日本人でありながら神話といえば、まず「ギリシア神話」を
思い浮かべるのではないでしょうか?
例えば「パンドラの箱」とか「トロイ戦争」とか
「ヘラクレスの12の功業」とか「ゼウスの浮気話の数々」とか、
こういったギリシア神話のエピソードは有名です。
一方で日本の神話のエピソードを挙げるとなるとなかなか。。。
「国生み神話」は認知度低そうです。
「因幡の白兎」は有名ですが、これが日本神話のエピソードだと
ご存知でしょうか。
「天の岩戸」は有名ですね。
あとは「ヤマトタケル伝説」くらいでしょうか。
この本では主に国生み神話の部分について古事記と日本書紀を
比較することにより、従来は同一の神話について書かれた書物と
見なされていたこの2つが、実はそもそも異なった出発点から発した
別々の物語である、と説いています。
そのために両書の違いが縷々説明されていきます。
個人的には、日本書紀と古事記が同じであるか別々であるか、には
大きな興味は持てないのですが、こんなにも差分があるのか、
というのはちょっと驚きでした。
例えば、日本神話では天上界は「高天原」と呼ぶものと思っていましたが、
日本書紀に「高天原」の語は登場せず、古事記にのみ登場します。
また、「黄泉」の国についても、日本書紀には登場しません。
他にも、日本書紀/古事記の解釈の歴史や日本書紀の「正史」的性格など
に関して論じられています。
日本の古典中の古典、日本書紀、古事記に対する理解を深めたい方には
興味深いかも。