古事記と日本書紀―「天皇神話」の歴史

古事記と日本書紀 (講談社現代新書)

古事記と日本書紀 (講談社現代新書)



神話というモチーフは決して人気の低いものではありませんが、
私達は日本人でありながら神話といえば、まず「ギリシア神話」を
思い浮かべるのではないでしょうか?
例えば「パンドラの箱」とか「トロイ戦争」とか
ヘラクレスの12の功業」とか「ゼウスの浮気話の数々」とか、
こういったギリシア神話のエピソードは有名です。
一方で日本の神話のエピソードを挙げるとなるとなかなか。。。
「国生み神話」は認知度低そうです。
因幡の白兎」は有名ですが、これが日本神話のエピソードだと
ご存知でしょうか。
「天の岩戸」は有名ですね。
あとは「ヤマトタケル伝説」くらいでしょうか。


この本では主に国生み神話の部分について古事記日本書紀
比較することにより、従来は同一の神話について書かれた書物と
見なされていたこの2つが、実はそもそも異なった出発点から発した
別々の物語である、と説いています。
そのために両書の違いが縷々説明されていきます。
個人的には、日本書紀古事記が同じであるか別々であるか、には
大きな興味は持てないのですが、こんなにも差分があるのか、
というのはちょっと驚きでした。
例えば、日本神話では天上界は「高天原」と呼ぶものと思っていましたが、
日本書紀に「高天原」の語は登場せず、古事記にのみ登場します。
また、「黄泉」の国についても、日本書紀には登場しません。


他にも、日本書紀古事記の解釈の歴史や日本書紀の「正史」的性格など
に関して論じられています。
日本の古典中の古典、日本書紀古事記に対する理解を深めたい方には
興味深いかも。