韓非子―不信と打算の現実主義
- 作者: 冨谷至
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2003/05/01
- メディア: 新書
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二千年以上もの昔に存在した、
限りなく冷めた思考の持ち主、韓非。
冷めているからといってリアリストとは思いませんが
(現実を客観的に見れば、そんなに悲観的でもないと
思いますので)、こういう言説に共感する人は
多いんじゃないでしょうか。
「人間性」、特に「欲望」に捕われる人間心理に対し、
諦めと同時にそれを受け入れ、むしろそれを利用して
人を支配する。
儒家よりはよほど実現可能性の高い方策を
選択していると評価することはできるでしょう。
でも、人は自分にそんなに絶望できない。
ある程度の夢、自分への幻想を持つことを、
やめられないですよね。
最近読んでいた「ローマ人の物語」と比較して、
韓非とローマ人は同じ「法」を重視していますが、
韓非は「人を支配するための道具」として、
ローマ人は「皆で守るためのルール」として、
法というものを扱いました。
この違いって、現代でも洋の東西での法に対する考え方の
違いに繋がっている気がします。
こういう根本的なところでの思想の違いを、
理解しあえたらいいんだけれど。