大東亜会議の真実 アジアの解放と独立を目指して

大東亜会議の真実 アジアの解放と独立を目指して PHP新書

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大東亜会議とは、第二次世界大戦中の昭和18年11月に
日本が主催し、当時の東アジア各国の首脳が集まった国際会議。
出席者は、主催国日本の総理大臣東条英機満州国総理張景恵、
中華民国(南京政府)行政院長汪兆銘、タイ国王族ワンワイタヤコーン、
フィリピン大統領ホセ・ラウレル、ビルマ首相バー・モウ、
自由インド仮政府首班チャンドラ・ボース
現在では、「アジアの傀儡を集めた茶番劇」であったと
されることの多いこの会議の意義を検証する書。


結論からいうと、「意味はあった」としてその根拠を
諸々並べる本です。
この本の特徴として思ったのは、単なる日本正当化論に
終始しているのではなく、そもそも対英米戦争開始のきっかけは
「自存自衛」であったと認めていたり、
東南アジアでの軍政にはひどい一面もあったことを認めていたり、
日本の内面指導に対してアジア各国首脳が抵抗していたことへの
言及があったりと、日本側にも多くの過ちがあったことを
認めている部分です。


当時のアジア各国の指導者達の涙ぐましい努力は、
確かに彼らを傀儡と決め付けるのは酷に思えました。
アジアを支配してきた欧米列強とそれを駆逐した日本を
天秤にかけながら、日本占領下にある現実の中で
祖国に少しでも利益をもたらそうと努力していた彼らは、
決して傀儡でも売国奴でもなく、その点は再評価されても
いいように感じました。


この本の中では、戦時中の日本の行為が
アジアの自立につながったと感謝しているアジア人が
多くいるのだ、と記されていますが、
そうであれば、アジアの人々の中からそのような
議論が盛り上がるように支援することの方が、
より適切な方策であろうと思います。
日本人自身がこのような意見を発しても、
自画自賛、自己正当化としかみなされないでしょう。