モンゴル帝国の興亡〈上〉軍事拡大の時代

モンゴル帝国の興亡<上> (講談社現代新書)

モンゴル帝国の興亡<上> (講談社現代新書)



テムジンに始まるモンゴル帝国興亡史上下2冊組の上巻。
上巻で扱われるのは、テムジンのモンゴル統一から
クビライの皇帝即位まで。


単純に、読み物として面白く読めます。
世界史と言えば中国かヨーロッパばかりが目立つ中、
遊牧民族の視点、中央アジアからの視点で描かれた世界史は
新鮮です。
筆者は相当にモンゴル贔屓と思われますが、
モンゴルの快進撃に紙数の大半が費やされ、
スイスイと爽快に読み進められます。


モンゴルは残虐ではなかった、との主張について
検証するだけの知識はないのですが、
説明は合理的で納得できます。


快進撃もよいのですが、さらに感心するのは
モンゴルの世界感覚の大きさです。
テムジン(チンギス・カン)の代の遠征では
右翼がホラズム(現在のイラン)で、左翼が金(現在の中国北部)。
第2代オゴデイの遠征では、右翼がキプチャク(黒海北岸)、
左翼が再び金。
まさにユーラシア横断です。