モンゴル帝国の興亡〈下〉―世界経営の時代

モンゴル帝国の興亡〈下〉 (講談社現代新書)

モンゴル帝国の興亡〈下〉 (講談社現代新書)



テムジンに始まるモンゴル帝国興亡史上下2冊組の下巻。
下巻で扱われるのは、クビライによる改革から帝国崩壊まで。


日本でクビライと言えば2回も元寇を催して、
2回とも台風で撤収していった、
ちょっと間の抜けたイメージがありそうですが、
この本のクビライは、政治・戦争・経済、
何をやらせても優秀な英雄。
実際全体の流れを見ると、モンゴルの全盛期を
実現したのは確かにこの人。
出自は遊牧民でありながら、海の交易ルートまで
視野に入れた国家構想を描くことができたのは
確かにすばらしい。
このクビライの没後、モンゴルはゆっくりと
崩壊していきます。
一体感を失った帝国は、中国、中東、中央アジア
ロシアと各方面で個別に解体されていきます。
このモンゴルの壮大さと比べると、明やオスマントルコ
地方政権にさえ見えてきます。


これまであまり日の目を見ることのなかった
モンゴル帝国史ですが、チンギス、クビライの
2人の英雄を始め、バヤン、カイシャン、カイドゥなど、
魅力的な人物が多く活躍します。
歴史を駆け足で追ったこの上下巻でさえこうなのですから、
詳細に歴史を追えば、もっと魅力的な人物に
遭えるのかもしれません。
かなり面白い本でした。