モンゴル帝国の興亡〈下〉―世界経営の時代
- 作者: 杉山正明
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1996/06/20
- メディア: 新書
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テムジンに始まるモンゴル帝国興亡史上下2冊組の下巻。
下巻で扱われるのは、クビライによる改革から帝国崩壊まで。
日本でクビライと言えば2回も元寇を催して、
2回とも台風で撤収していった、
ちょっと間の抜けたイメージがありそうですが、
この本のクビライは、政治・戦争・経済、
何をやらせても優秀な英雄。
実際全体の流れを見ると、モンゴルの全盛期を
実現したのは確かにこの人。
出自は遊牧民でありながら、海の交易ルートまで
視野に入れた国家構想を描くことができたのは
確かにすばらしい。
このクビライの没後、モンゴルはゆっくりと
崩壊していきます。
一体感を失った帝国は、中国、中東、中央アジア、
ロシアと各方面で個別に解体されていきます。
このモンゴルの壮大さと比べると、明やオスマントルコが
地方政権にさえ見えてきます。
これまであまり日の目を見ることのなかった
モンゴル帝国史ですが、チンギス、クビライの
2人の英雄を始め、バヤン、カイシャン、カイドゥなど、
魅力的な人物が多く活躍します。
歴史を駆け足で追ったこの上下巻でさえこうなのですから、
詳細に歴史を追えば、もっと魅力的な人物に
遭えるのかもしれません。
かなり面白い本でした。