ローマ人の物語〈18〉悪名高き皇帝たち(2)

ローマ人の物語 (18) 悪名高き皇帝たち(2) (新潮文庫)

ローマ人の物語 (18) 悪名高き皇帝たち(2) (新潮文庫)



ローマ人の物語」の第十八弾は
ティベリウスの晩年と三代皇帝カリグラ。


世間の目を無視し続けたティベリウスも、
老いてはやはり耐え切れなかったようで、
皇帝の家出物語。
別荘にこもって、手紙だけで元老院に指図したそうで
これが随分と不評を買ったとか。
今でもいますよね、
現場に顔を見せたことのない社長とか。
不評な理由も分かります。


派手好きの三代カリグラ。
周りを気にしすぎるがために
派手なパフォーマンスを繰り返し、
それがためにわがまま勝手な印象を持たれ、
それを気にして、またパフォーマンス。
作者の解釈では、そんなマイナスの連鎖が
カリグラを破滅の原因。
でも治世後半を見れば、
ただの目立ちたがり屋のような
気もします。
普通の目立ちたがり屋であれば、
飽きられれば忘れられて終わるのでしょうけど、
その人が皇帝だったというのが
不幸だったかな。


この巻で特に深く触れられるのが、
ローマとユダヤの関係。
これに関する作者の洞察は
結構面白いです。
ユダヤ民族、ユダヤ教の特殊性というのは、
歴史の必然なのでしょうか?
なぜこのような独特の思想を持つ人々が
現れることになったのか、
興味が湧きました。