ローマ人の物語〈20〉悪名高き皇帝たち(4)
ローマ人の物語 (20) 悪名高き皇帝たち(4) (新潮文庫)
- 作者: 塩野七生
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/08/28
- メディア: 文庫
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「ローマ人の物語」の第二十弾は
五代皇帝ネロ。
ネロといえば、666を初めとして
キリスト教の敵としての側面しか知らなかったので、
いろいろ奇矯な行動も多いものの、
意外と治世は安定していて驚きました。
ただ、その安定ゆえに、ローマ大火以降の
ネロ転落の軌跡に今ひとつ納得いかない部分も
あります。転落があまりにも急激すぎるので。
この巻でネロ以上に印象に残るのは将軍コルブロ。
ネロとセネカの諸々の失策にも関わらず、
帝国東方の対パルティア戦線を支え
和平を継続させた優秀な将軍です。
敵からの敬意さえ獲得したという厳格で公正な
性格でありながら、
伝統に捕われない柔軟な発想と行動力を持ち、
そのリーダーとしての資質は
今の時代にも十分通用する
素晴らしいものです。
ネロ暗殺の陰謀に連座する形で
命を散らせることになってしまいますが、
大火よりもむしろコルブロを
死なせたことの方がネロの破滅を
導いたとの見解に賛成です。