中東イスラーム民族史―競合するアラブ、イラン、トルコ



中東の主要な民族である、アラブ、イラン、トルコの
通史を解説。


私も中東情勢には疎いので、「イスラム教徒」を
ひとまとめにして考えがちですが、
ペルシャの伝統を汲むイラン、
オスマンの遺産を受け継ぐトルコ、
イスラム主流の誇りを持つアラブの間には
微妙な距離が存在することが
よく分かります。
例えば、日本人にとってはイラン=イラク戦争
経緯のよく分からない戦争だと思いますが、
この戦争にはアラブとイランとの距離感に起因する
背景があった、とのことです。
また、イスラム教国でありながらEU加盟を
目指すトルコも日本人には理解しがたいものがあると
思いますが、オスマンの支配者階層としての
トルコ人と、被支配階層であった周辺アラブ国の間にも
相当な距離があり、中東地域で孤立することも
多く、それがEUへの接近に繋がっているようです。


内容には全然関係ないのですが、この本は
「はじめに」の章がすごく長い。
ちょっと珍しいくらいの長さです。