溥儀―清朝最後の皇帝
- 作者: 入江曜子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2006/07/20
- メディア: 新書
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中国史上最後の皇帝、溥儀の生涯を追う一冊。
単なる伝記ではなく、溥儀の内面にスポットを当てようと
試みている点が面白く読めます。
幼少のころの異常な環境と、そこから長じてのちの
溥儀の性格上の欠点、生活面での欠点を
浮き彫りにしていきます。
溥儀と皇后婉容の仲が初めから悪かったわけではなかった、
というのは初耳でした。
婉容は明るい性格で、側妃文綉にも随分と気を使っていた
そうです。
溥儀の周囲の人間の感情の変化もよく描写されていると
思います。紫禁城以来の家臣や皇帝一族が、満洲崩壊後の
シベリアと中国での捕虜生活中に、溥儀への態度を
少しずつ変化させていきます。
日本人戦犯たちの態度が、朝鮮戦争で中国がアメリカと
互角に戦ったことで変わった、というのも
妙にリアルで感心しました。