溥儀―清朝最後の皇帝

溥儀―清朝最後の皇帝

溥儀―清朝最後の皇帝



国史上最後の皇帝、溥儀の生涯を追う一冊。


単なる伝記ではなく、溥儀の内面にスポットを当てようと
試みている点が面白く読めます。
幼少のころの異常な環境と、そこから長じてのちの
溥儀の性格上の欠点、生活面での欠点を
浮き彫りにしていきます。


溥儀と皇后婉容の仲が初めから悪かったわけではなかった、
というのは初耳でした。
婉容は明るい性格で、側妃文綉にも随分と気を使っていた
そうです。


溥儀の周囲の人間の感情の変化もよく描写されていると
思います。紫禁城以来の家臣や皇帝一族が、満洲崩壊後の
シベリアと中国での捕虜生活中に、溥儀への態度を
少しずつ変化させていきます。
日本人戦犯たちの態度が、朝鮮戦争で中国がアメリカと
互角に戦ったことで変わった、というのも
妙にリアルで感心しました。