憲法九条を世界遺産に

憲法九条を世界遺産に (集英社新書)

憲法九条を世界遺産に (集英社新書)



改憲の動きが見える中で、憲法九条の価値を見直し、
後世に伝えていこうと議論します。


メインとなるのは2人の著者の対談。
憲法九条への特別な思い、その思想的な背景や
歴史的な貴重さを語り合います。
宮沢賢治と田中智学について、予備知識を持っておくと
読みやすくなります。


議論が思想面に偏っていて、憲法を維持あるいは改正した
場合の国益に対する考察がなかったのが少し残念でした。
おそらく多くの人は、「立派な憲法を維持するためには
一般国民の生命を危険にさらすこともやむを得ない」とは
考えないでしょう。
個人的には、憲法九条を持ちながらも自衛隊を整備する
日本のやり方は、理想と現実の妥協点としては
よくできたやり方だと思っています。
論理的には矛盾していますが、矛盾を併せ呑むことができるのが
非西欧文明のいいところです。