アラビアのロレンスを求めて―アラブ・イスラエル紛争前夜を行く



アラビアのロレンス」の伝説を、
アラブ側からの視点で見直す一冊。


この本では、第一次世界大戦時に、
トルコからのアラブの独立を
掲げてアラブとともに戦ったというイギリス人、
トマス・エドワード・ロレンスの伝説の見直しを
促しています。
実際のロレンスは、アラブ独立を目指した
悲劇のヒーローではなく、
あくまでもイギリス人としての立場から
アラブに接していたというものです。
読んでみると、そういう説もかなり確からしいな、と
思えます。


まだ学生だったロレンスが中東の十字軍の城を
研究調査するくだりは、かなりの好青年ぶりが
見られるのですが、第一次大戦前後で政治的な
動きを見せるあたりで文調が暗転します。
結果としての現在の中東情勢を見ると、
アラブ側からの視点ならば厳しい評価に
ならざるを得ないのでしょうね。