ハプスブルク家
- 作者: 江村洋
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1990/08/10
- メディア: 新書
- 購入: 16人 クリック: 287回
- この商品を含むブログ (41件) を見る
神聖ローマ皇帝、オーストリア皇帝のハプスブルク家の歴史を、
歴代皇帝の中から特にマクシミリアン一世、カール五世、
マリア・テレジア、フランツ・ヨーゼフを取り上げて紹介します。
スイスに発祥し、神聖ローマ皇帝となり、オーストリアから
スペインまでを支配し、オーストリア皇帝として滅びた
ハプスブルク家の通史。
これほどの広大な地域を支配しながら、軍事的侵略行為を
ほとんどしていない不思議な一族。
むしろ戦争には滅法弱い。
神聖ローマ帝国やヨーロッパ王侯貴族の不可解さを
堪能できるでしょう。
歴代の中でも、一番のクライマックスはマリア・テレジアでした。
若き女王の即位直後を狙ってハプスブルク領を侵略した
プロイセンのフリードリヒ二世に対して、
国内に支持基盤のないマリア・テレジアは、
国内でもとりわけ反抗的なハンガリーに敢えて乗り込み、
切々と訴え、そしてハンガリーの熱狂的な忠誠を得ます。
オーストリア継承戦争や七年戦争を戦い、外交革命を成し遂げ、
数々の改革を実施し、16人の子の母となります。
この行動力は圧巻です。
おそらく記述の熱意から言って、著者はマリア・テレジアを
最も評価しているのではないでしょうか。