ハプスブルク家

ハプスブルク家 (講談社現代新書)

ハプスブルク家 (講談社現代新書)



神聖ローマ皇帝オーストリア皇帝のハプスブルク家の歴史を、
歴代皇帝の中から特にマクシミリアン一世、カール五世、
マリア・テレジア、フランツ・ヨーゼフを取り上げて紹介します。


スイスに発祥し、神聖ローマ皇帝となり、オーストリアから
スペインまでを支配し、オーストリア皇帝として滅びた
ハプスブルク家の通史。
これほどの広大な地域を支配しながら、軍事的侵略行為を
ほとんどしていない不思議な一族。
むしろ戦争には滅法弱い。
神聖ローマ帝国やヨーロッパ王侯貴族の不可解さを
堪能できるでしょう。


歴代の中でも、一番のクライマックスはマリア・テレジアでした。
若き女王の即位直後を狙ってハプスブルク領を侵略した
プロイセンフリードリヒ二世に対して、
国内に支持基盤のないマリア・テレジアは、
国内でもとりわけ反抗的なハンガリーに敢えて乗り込み、
切々と訴え、そしてハンガリーの熱狂的な忠誠を得ます。
オーストリア継承戦争七年戦争を戦い、外交革命を成し遂げ、
数々の改革を実施し、16人の子の母となります。
この行動力は圧巻です。
おそらく記述の熱意から言って、著者はマリア・テレジア
最も評価しているのではないでしょうか。