国際連合―軌跡と展望

国際連合―軌跡と展望 (岩波新書)

国際連合―軌跡と展望 (岩波新書)



国連の歴史、現状、問題点をまとめた一冊。


あのカンボジアの明石さんの著書です。
国連誕生時の駆け引きから、冷戦時の徒労感、現在のPKOを中心とした
困難な状況への悲嘆などが記載されていますが、
決して国連に絶望せず、今後の国際社会安定に努めるべき国連の姿が
見据えられています。


国連の一番のアキレス腱は、結局のところ国家間組織に過ぎない、
言い換えれば、強制執行能力がない、というところでしょう。
そういう部分で、国連職員の立場が歯痒いのはすごく同情できます。
PKOなんかも、大国の拒否権でしっかり手綱を握られていますしね。
それでも、国際社会が一同に会して話をする場がある、ということ自体に
大きな意味があり、それが国連の一番の役割りなんでしょうね。
私自身は、遅々とした歩みながらも世の中は良くなっていっている、
という楽観論者ですので、そういう意味でも国連の果たしている役割りは
大きいと思っています。