シーア派―台頭するイスラーム少数派

シーア派―台頭するイスラーム少数派 (中公新書)

シーア派―台頭するイスラーム少数派 (中公新書)



イスラム教少数派にしてイラン国教のシーア派
シーア派の歴史と現状が解説されます。


ムハンマドによるイスラム教成立以降、シーア派成立までの
経緯やその後の歴史、シーア派独特の様々な慣習、イランでの
イスラム革命やイラン以外のシーア派の実態など、分かりやすく
網羅されています。


個人的にはイスラム教主流派のスンナ派に詳しいわけではないので
シーア派の特殊性のようなものはよく分からないのですが、
イマームのための追悼行進の慣習などを見る限り、やや原始宗教的な
色彩が見えます。実利を重んじる商人の宗教として始まった
イスラム教にあっては、少数派に甘んじるのも故あることと思いました。
また、イマームへの忠誠や、少数派として迫害されてきた歴史は
ユダヤ教にも似たものがありますね。
イランでのイスラム革命が行き詰まりつつあるなかで、
イラン国外のシーア派も一枚岩になりきれない内情もあり、
今後もしばらくは火種であり続けるのでしょう。