ローマ人の物語〈27〉すべての道はローマに通ず〈上〉

ローマ人の物語 (27) すべての道はローマに通ず(上) (新潮文庫)

ローマ人の物語 (27) すべての道はローマに通ず(上) (新潮文庫)



ローマ人の物語」の第二十七弾は、ローマ人が整備した
インフラストラクチャーについての解説と賛美。
〈上〉では街道と橋。


広大なローマ帝国内に張り巡らされたローマ街道網の効用、
構造と作り方の解説、各街道が作られた経緯など。
そして、「街道の弟」橋についての構造と作り方など。
最後に、「タブーラ・ペウティンゲリアーナ」と呼ばれる
ローマ帝国地図についてその読み方など。


これまでの巻とはことなり、この巻ではローマの歴史が展開される
わけではありません。
ローマ人が整備したローマ街道網が、如何に優れた機能を持ち、
如何に美しく保たれ、如何にローマの繁栄に貢献したかを解説します。
写真や図版も多く、非常に分かりやすく整理されています。
冒頭で中国の万里の長城とローマ街道が比較されていますが、
確かに興味深い民族性の違いが見て取れますね。
「タブーラ・ペウティンゲリアーナ」は旅行者用の絵地図。
見ているだけで楽しくなるような、象徴化された地図です。


ローマ人の先進性は、ヨーロッパ中世の退行と比較して驚くばかりです。
合理的精神と公共心に富んだ人々が2千年の昔に存在していたことは
実に奇跡のようです。
現代社会と比較しても遜色のない社会基盤は一見の価値のあるものだと
思います。