物語 ドイツの歴史―ドイツ的とはなにか
- 作者: 阿部謹也
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1998/05/01
- メディア: 新書
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ドイツ通史書。カロリング朝以降、現代までを扱っています。
主に語られるのは「アジール」。
アジールとは、日本にはあまりない概念なのですが、
一番近いのは駆け込み寺。
どんな人でも(それが犯罪者でも、政治的・宗教的・人種的な
非抑圧者でも)、そこに入りさえすれば超法規的に保護される
空間のことです。
ドイツでは歴史的にアジールの概念が発達しており、現在でも
自国をアジールと捉えて、諸外国の非抑圧者のための亡命の
システムが整備されています。
その経緯が、詳細に綴られています。
私はドイツ史は好きなのですが、この本はちょっと消化不良
でした。ドイツ史は、政治史、戦史として見れば
ドラマティックな物語になるはずなのですが、この本は
民俗学的な視点からの通史なんですよね。
アジールの概念は確かに新鮮なものでしたが、正直興味が
湧きませんでした。著者の方、ごめんなさい。
民俗学的視点に興味のある方にはよいかもしれませんが、
一般的なドイツ史ファンにはお勧めじゃないなぁ、というのが
私個人の感想です。