物語 ヴェトナムの歴史―一億人国家のダイナミズム
物語 ヴェトナムの歴史―一億人国家のダイナミズム (中公新書)
- 作者: 小倉貞男
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1997/07/01
- メディア: 新書
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ヴェトナムの通史。伝説の建国者雄王から、20世紀の独立の
指導者ホー・チ・ミンまで。
ヴェトナムというのは中華文化圏なんですね。地名や人名が
漢字表記されているのが新鮮でした。
華夷秩序の中で、いわゆる辺境にあたる地域です。
辺境という意味では日本や朝鮮も同じなのですが、
ヴェトナムは日本や朝鮮よりも交通が便利だったようで、
漢の時代から中華王朝の侵略を受けその支配下にありました。
とはいっても現在のヴェトナム領の全てではなく、北半のみが
中国の影響圏でした。
ヴェトナムが独自の政権を打ち立てるのは10世紀です。
ヴェトナムはかつて母系社会だったようですね。農業社会だから
でしょうか。日本も卑弥呼や天照大神など、かつては母系社会
であり、やはり農業社会でした。ヴェトナムでは女性が中国への
反乱を指導したという伝説があり、おそらくそれに類した事実が
あったのでしょう。
「今にして思えば」ってことなんでしょうけど、植民地という
システムは実に理不尽ですね。こんなシステムを維持できると
思っていたのでしょうか。暴動が発生するのも無理はなく、
このようなシステムの維持には膨大な資力と軍事力が必要と
なったことでしょう。