物語 ウクライナの歴史―ヨーロッパ最後の大国

物語 ウクライナの歴史―ヨーロッパ最後の大国 (中公新書)

物語 ウクライナの歴史―ヨーロッパ最後の大国 (中公新書)



ウクライナの歴史を、伝説の時代からソ連崩壊後の
分離独立までを通して描きます。


ウクライナ」と言われて、地図上の位置を
明確に思い浮かべられる人はどの程度いる
でしょうか。私もあまり知りませんでした。
位置は、簡単に言うと黒海の北岸なのですが、
これでも難しいという人はいるでしょうね。


位置関係も分からないのに、まして歴史となると
さっぱりなんです。知らないことが多くて、
読み進めるのが楽しい一冊でした。
著者は、元駐ウクライナ日本大使。
外交官というのは、このように当該国の歴史にまで
通暁していなければならないんですね。
大変だ。


ウクライナの歴史は、基本的に辺境の歴史です。
「コサック」と言うと聞き覚えのある人が
いるでしょうか。
もちろん、キエフ・ルーシという輝かしい時代も
あったのですが、ギリシア・ローマ文明から見た辺境、
ポーランドから見た辺境、モスクワから見た辺境、
周囲の大勢力の都合に左右されてきた悲しい歴史に
見えました。
今、独立を果たし人口5200万人。ヨーロッパにあっては
結構な大国です。基幹産業は農業ですが、ソ連から引き継いだ
工業基盤もあるらしく、潜在的な国力はあるのかも
しれません。これからが楽しみな国です。