物語 ウクライナの歴史―ヨーロッパ最後の大国
- 作者: 黒川祐次
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2002/08/01
- メディア: 新書
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ウクライナの歴史を、伝説の時代からソ連崩壊後の
分離独立までを通して描きます。
「ウクライナ」と言われて、地図上の位置を
明確に思い浮かべられる人はどの程度いる
でしょうか。私もあまり知りませんでした。
位置は、簡単に言うと黒海の北岸なのですが、
これでも難しいという人はいるでしょうね。
位置関係も分からないのに、まして歴史となると
さっぱりなんです。知らないことが多くて、
読み進めるのが楽しい一冊でした。
著者は、元駐ウクライナ日本大使。
外交官というのは、このように当該国の歴史にまで
通暁していなければならないんですね。
大変だ。
ウクライナの歴史は、基本的に辺境の歴史です。
「コサック」と言うと聞き覚えのある人が
いるでしょうか。
もちろん、キエフ・ルーシという輝かしい時代も
あったのですが、ギリシア・ローマ文明から見た辺境、
ポーランドから見た辺境、モスクワから見た辺境、
周囲の大勢力の都合に左右されてきた悲しい歴史に
見えました。
今、独立を果たし人口5200万人。ヨーロッパにあっては
結構な大国です。基幹産業は農業ですが、ソ連から引き継いだ
工業基盤もあるらしく、潜在的な国力はあるのかも
しれません。これからが楽しみな国です。