日本の歴史〈5〉王朝の貴族
- 作者: 土田直鎮
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2004/09/01
- メディア: 文庫
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平安時代中期、摂関政治の時代。ほぼ、藤原道長の生涯に
重なる時代を扱っています。
兼家、道長、頼通の摂関全盛3代の時代です。
藤原北家の勢いは凄まじく、まさに全盛期なのですが、
私はむしろ天皇家というものの特別な地位を感じました。
政治の実権をほぼ握った藤原家も、天皇家を蔑ろには
できなかったのです。
道長と三条天皇の衝突もあったようですが、結局天皇は
完全な傀儡にはなっておらず政治に対する影響力を
保持し続けているのですよね。
あと、この時代の文化の特色は女流文学にあります。
源氏物語を書いた紫式部、枕草子を書いた清少納言をはじめとして、
百人一首に名を残す女性だけでも和泉式部、赤染衛門、大弐三位、
小式部内侍、伊勢大輔、蜻蛉日記を書いた藤原道綱母、
あとは、更科日記を書いた菅原孝標女などという人も知られています。
世界的に見て、10世紀、11世紀のこの時代、一般的に女性は文盲です。
それが日本では、読み書きの能力を持ち、さらにはかなり高い教養を
身に付けて自ら文学作品を残しているのですから、これは
非常に稀なことです。
日本が世界に誇れる文化的成果だと思います。