日本の歴史〈5〉王朝の貴族

日本の歴史〈5〉王朝の貴族 (中公文庫)

日本の歴史〈5〉王朝の貴族 (中公文庫)



平安時代中期、摂関政治の時代。ほぼ、藤原道長の生涯に
重なる時代を扱っています。
兼家、道長、頼通の摂関全盛3代の時代です。


藤原北家の勢いは凄まじく、まさに全盛期なのですが、
私はむしろ天皇家というものの特別な地位を感じました。
政治の実権をほぼ握った藤原家も、天皇家を蔑ろには
できなかったのです。
道長三条天皇の衝突もあったようですが、結局天皇
完全な傀儡にはなっておらず政治に対する影響力を
保持し続けているのですよね。


あと、この時代の文化の特色は女流文学にあります。
源氏物語を書いた紫式部枕草子を書いた清少納言をはじめとして、
百人一首に名を残す女性だけでも和泉式部赤染衛門大弐三位
小式部内侍、伊勢大輔蜻蛉日記を書いた藤原道綱母
あとは、更科日記を書いた菅原孝標女などという人も知られています。
世界的に見て、10世紀、11世紀のこの時代、一般的に女性は文盲です。
それが日本では、読み書きの能力を持ち、さらにはかなり高い教養を
身に付けて自ら文学作品を残しているのですから、これは
非常に稀なことです。
日本が世界に誇れる文化的成果だと思います。