二・二六事件―「昭和維新」の思想と行動
- 作者: 高橋正衛
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1994/02/01
- メディア: 新書
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昭和11年(1936)2月26日、東京で発生した日本陸軍内部の
反乱事件、二・二六事件。
本書は、同著者が二・二六事件に関して1965年に出版された
同タイトルの新書の増補版です。本の末尾に一章追加されて
います。
読んだ印象は、非常に難しい本だということです。二・二六
事件に関してある程度の予備知識がある人を読者に想定され
ているようです。事件前後の状況、東京の土地勘、登場人物
の略歴くらいは抑えていないとすらすらとは読めないでしょ
う。著者もまえがきに記されていますが、確かにIV章から先
に読んで、それからI章を読んだ方が理解しやすいかもしれ
ません。
希望としては、せめて人名くらいはふりがなを振ってほし
かったですね。あと、注釈が巻末と章末に分散しているのも
読みにくかったですね。
VIII章「処刑」はわずか9ページしかないのですが、かなり
衝撃的です。二・二六事件反乱将校たちは多くがまともな裁
判も受けられないまま死刑を言い渡され銃殺されるのです
が、その様子が刻銘に記されています。銃殺される直前の、
まさに本当の「遺言」も、全員の分が載せられています。
読み進めようとすると、心に激しい「痛み」を覚える、そ
んな章でした。
真崎大将に対しては、やや感情的ともいえる批判が展開され
ています。歴史書としてはややあるまじき、という気もしま
すがVIII章を読めば、気持ちは分からなくもない、という感
じですね。