日本の歴史 (7) 鎌倉幕府

日本の歴史 (7) 鎌倉幕府 (中公文庫)

日本の歴史 (7) 鎌倉幕府 (中公文庫)



源頼朝の挙兵から、北条執権政治の確立まで。
年表でいうと1180年から1271年まで。
平安時代の最末期から鎌倉時代前半。


歴史の主役は完全に武士の手に移ります。
前の第6巻では平氏側から見た源平合戦が記されていましたが
今回は源氏側から見た源平合戦が展開されます。
「源氏側」と一言で言ってもそう簡単ではないのですけどね。
少なくとも頼朝と義仲がいますし、他にも行家、範頼、義経
頼朝以外はみな落命します。源氏内部の主導権争いも熾烈
だったのです。


で、鎌倉幕府。日本史をかじった程度の知識だと征夷大将軍
言えば源氏なのですが、鎌倉幕府の将軍は意外に藤原氏
だったり皇族だったりします。鎌倉将軍9人のうち源氏将軍は
3人だけです。「源氏」の神通力は室町時代に入ってから、
足利将軍によって作り出されたのでしょう。
歴史を作っていくのは北条氏です。
鎌倉初期の陰謀の数々と承久の乱。これらを乗り切って北条
執権政治が確立されていきます。


読んだ感想を言うと、かなり分かりやすかったと思います。
「武士」というのがどういうものなのか、かなり紙数を割いて
説明してくれます。鎌倉初期の職制など、未解明の部分も
多いのですが、分かってないことは分からないと正直に書いて
くれてます。
頼朝の存在の大きさが際立っているだけに、その後の源氏、
頼家、実朝の哀れさ、北条氏の巧みさが印象的です。
巻末の解説は、かなり手前味噌な感じでした。