日本の歴史〈9〉南北朝の動乱

日本の歴史〈9〉南北朝の動乱 (中公文庫)

日本の歴史〈9〉南北朝の動乱 (中公文庫)



日本の歴史シリーズの9巻。
建武の新政から足利義満の死まで。


南北朝の政治状況は非常に目まぐるしいのですが、
本書はそんな政治の動きを分かりやすくまとめて
解説してくれます。


事実は小説より奇なり。九州に敗走した足利尊氏
捲土重来を果たしたり、ともに戦ってきた尊氏、
直義兄弟が仲間割れをしたり。歴史の流れが面白い
時期です。
後醍醐天皇という人は、まわりに善きブレーンに
恵まれなかったのでしょうね。天皇専制という理想は
悪くなかったと思うのですけど、綸旨の朝令暮改ぶり
は気の毒なくらいです。


足利義満の「日本国王」簒奪計画の扱いがちょっと
中途半端な気がしました。「日本国王」は日本の
主権者であり天皇の地位を脅かすものです。
義満がどこまで簒奪を明確に意識していたのかは
不明ですが、事と次第によっては日本の歴史上、
空前絶後の計画であったかもしれません。
結局義満の死によってあやふやに終わるのですけどね。