ローマ人の物語〈34〉迷走する帝国〈下〉

ローマ人の物語〈34〉迷走する帝国〈下〉 (新潮文庫 し 12-84)

ローマ人の物語〈34〉迷走する帝国〈下〉 (新潮文庫 し 12-84)



ローマ人の物語」の第34弾は西暦260年から284年までと、
ローマ帝国キリスト教に関する一説。
皇帝は多いので省略。


ガリア帝国という国家は、この本を読むまで知りませんでした。
ローマ帝国から分離した国家で、現在で言うとフランス、スペイン、
ポルトガル、イギリス南部にあたる地方を領有し、西暦260年から
274年まで存在しました。
国家機構はローマ帝国のまる写しだったそうで、皇帝のもとに
元老院や執政官がいたそうです。


この巻では、そのガリア帝国と、東方のパルミラ王国の独立に
よりローマ帝国領が三分されることになるのですが、それを統一
したのが皇帝アウレリアヌス。久々に、果断で戦闘に強い、
ローマ皇帝らしいローマ皇帝が登場しました。皇帝一代で50ページ
以上を占めたのも久々でしょう。
このアウレリアヌスの活躍は読みごたえがありました。


その他の皇帝については、まぁ、「その他」ってレベルですね。
特になし、です。


ローマ帝国キリスト教の話は読んでいて面白かったですね。
確かに、ギリシア・ローマ文明とキリスト教の間には、何か
歴然としない飛躍が存在し、合理的で寛容なローマ人が
キリスト教に染まった理由は興味深いところです。
著者の説にも完全に納得できるわけではないのですけれども、
混乱の時代にあっては、ローマ的な神よりもキリスト教的な
神の方が頼りがいがあるのは事実でしょうね。