インフルエンザ―新型ウイルスはいかに出現するか

インフルエンザ―新型ウイルスはいかに出現するか (PHP新書)

インフルエンザ―新型ウイルスはいかに出現するか (PHP新書)



去年来、いわゆる新型インフルエンザが世界的に流行し、
日本でもワクチンの準備に政府が奔走したわけですが、
本書はその流行のはるか以前、1998年に刊行された本です。


正直、素人にはむずかしいです。専門的な用語が説明もなく
使用されることがあり、理解するのが大変でした。
(現時点でも、概略くらいしか分かっていません。)
ウイルスというものに関する詳細な解説があるのですが、
これがよく分かりません。HA蛋白質というものが重要らしい
ということがようやく分かりました。


去年から流行している新型インフルエンザは当初ブタインフルエンザ
と呼ばれていたようにブタ由来です。しかし本書によると、
インフルエンザの流行にはトリも重要な役割を演じています。
インフルエンザウイルスの種類で言うと、トリが断然多く、15種類。
ブタ2種類、ヒト4種類。ただ、トリインフルエンザは腸で増殖するなど
ヒトインフルエンザとは異なった特徴を多く有し、ヒトとトリの
インフルエンザが直接交雑することはないようで、ここで重要なのが
ブタ。ブタの体内でヒトとトリのインフルエンザウイルスが交雑して、
新型に変化してヒトに感染するのだそうです。
つまりインフルエンザウイルスはトリが多種を保持していて、それらと
ヒトインフルエンザウイルスがブタの体内で交雑して新型となりヒトに
感染するというルートが存在するらしいのです。


世界にあってインフルエンザの発祥地となりやすいのは中国南部。
ブタとトリとヒトが身近な環境で暮らしていることから、この地域から
新型が発生しやすいそうです。


インフルエンザ予防と言えばマスクとワクチンですが、実はワクチンの
有効性は未だに疑問符がついているそうですね。新しいワクチンとして、
実際のウイルスと同じように鼻から吸い込む噴霧式のワクチンなども
あるようで、これだと注射よりも簡単ですから早く実用化してほしい
ですね。