IT革命の虚妄

IT革命の虚妄 (文春新書)

IT革命の虚妄 (文春新書)



「IT革命」、今となっては懐かしい言葉です。この
本の発行は平成13年。今から9年前です。私たちは
後出しジャンケンの形で本書の内容を検証すること
ができます。今にして思えば、IT革命なんてものは
無かったと言えるでしょう。確かに、携帯電話なん
かはかなり進化しましたが、産業としてIT産業が世
界景気をけん引するようなことはありませんでした。
本書に数回登場する「ニューエコノミー」などと言
う議論も、現在の日本の景気を見ても分かる通り、
全くの虚構でした。


本書の著者は「IT革命」に懐疑的な立場から記述さ
れており、そういう意味では内容はそれほど的外れ
ではありません。ひとつ外れていることがあるとす
れば電子マネーの広まりでしょうか。著者は電子マ
ネーの拡大には懐疑的なのですが、現在の状況から
すれば外れていたことになります。


などと内容を検証していくことは可能ですが、今の
状況に何か活かせる情報があるかというと、大した
内容はありません。今さら読むべき本ではないで
しょう。お勧めできない一冊です。