ローマ人の物語〈37〉最後の努力〈下〉
- 作者: 塩野七生
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2009/08/28
- メディア: 文庫
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「ローマ人の物語」の37巻はコンスタンティヌ
ス大帝の治世、324年〜337年まで。
四頭政下の内乱を統一したコンスタンティヌスが
したことは大きく2つ。新都コンスタンティノー
プルの建設とキリスト教振興。この2つはいずれ
も中世への幕開けとされるものです。ローマ元老
院はその存在感を失いつつあり、皇帝の独裁を止
める力はありません。経済格差は広がる一方で固
定化しはじめ、身分制へとつながっていきます。
かつてのローマの活力は確実に失われていってい
るのです。
かわいそうなのはコンスタンティヌスの庶長子ク
リスプス。内乱の時代には父の片腕として活躍
し、副帝の地位を得たのですが、内乱が終わり正
妻の子(義理の弟)が成長するとお払い箱となり殺
されます。罪状は正妻つまり義理の母との密通。
本人は最後まで否認したそうです。
本巻ではニケーア公会議などキリスト教政策に半
分程度割かれています。著者の認識では、キリス
ト教こそがローマ衰退の原因なのでしょう。コン
スタンティヌス自身は改宗しませんでしたが、明
らかにキリスト教を優遇した政策を取り続けま
す。次巻のタイトルは「キリストの勝利」。いよ
いよローマの最期に近づきつつあります。